暗いテーマに暗い曲調が合うとは限らない

『シー・オブ・ラブ』(1989・アメリカ)を見た。アル・パチーノエレン・バーキンジョン・グッドマン出演。監督はハロルド・ベッカー。

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3分半に及ぶラストシーンをくりかえし見たくなる。このラストシーンに関しては、日中、歩道での撮影中、一般の通行人がパチーノにぶつかってしまい、パチーノが飛ばされるかっこうになった。監督は没にすることを覚悟したが、パチーノは演技を続け、出来もよかったのでそのカットをそのまま使ったというエピソードがあったらしい。

なるほどそこでのパチーノの身のこなしは自然で、かつ印象に残るが、その直前から、それまでずっと固い表情を崩さなかったバーキンが、パチーノのあまりの軽口に思わず口元を緩め、ついには笑みを浮かべてしまう。その相好の流れは、さらに特筆すべきこの映画の美点だろう。

また「シー・オブ・ラブ」という少しノスタルジックで、美しい曲が殺人現場によく合うことは発見だった。暗いテーマに暗い曲調が合うとは限らないのだな、というようなことを考えさえられました。

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