新バージョンは少しスローに

「Kettle」を投稿しました。これはもとは「カフェレーサー」という曲だったのですが、変更しました。朝、白い光のなかで湯気を立てるやかん(ケトル)というのは、私にとって、何というか幸せな日々の象徴みたいなものです。だけど火を想起するからでしょうか、同時にどこか不安の気配を感じさせる物体でもあります。

歌詞における大きな変更点は、「ミルク缶みたいなケトル」という句を新たに入れたことです。上述のとおり、私には印象深い語である「ケトル」をここで用いたい、いや、用いねばならぬと考えました。

それから旧バージョンについては、畳み掛けるというか、言葉がすし詰めになってしまっている感じがあるな、と。対照表にはAメロ、Bメロを引いたのですが――サビの部分はむしろ畳み掛けるくらいがよいのかもしれないが、そことのメリハリをつけるためにもAメロ、Bメロでは少し間を作りたい。そうした考えもあって、少々文字数を減らしています。

(新) 伏せていた頬を上げた 防具をつけたきみが出ていった

ミルク缶みたいなケトル 注いでいた明るみ 翳った
薄い靄はのぼるのか降るのか 天地の感覚 乱れる
(旧) シーツにあてた頬を上げたとき防具をつけたきみが出ていった

しのびこんだ寂寞の気配に注いでいた明るみが翳った
薄い靄はのぼるのか降るのかふと天地の感覚が乱れる

ただ、今顧みると、何か畳み掛けられているように思えたのは文字数の問題ではなくて、テンポのせいだったのではないかとも疑われます。新バージョンは少しスローにしたので、そのテンポであれば同じ文字数でも、詰まった感じは受けなかったのかもしれません。

それでも、ケガの功名といいますか、間のおかげかポエトリーリーディングのような効果も少しですが出てきた気もするので、結果的によかったのかな。

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