バンド名の由来は、全員、車好きだから

f:id:posidas:20190202213851j:plain

今になって知りましたが、ミノルタの由来の1つは「稔る田」なんですね。名づけたのは創業者である田嶋一雄さん。なるほど田嶋さんの「田」をとって、豊作で儲かりますようにということだなと合点したのですが、そうでもなくて、「稔るほど頭を垂れる稲穂のように、常に謙虚でありなさい」と教えられたことを肝に銘じておくためであったとのこと。そうですね、豊作で儲かりますようにというのでは社名としてはやや洗練に欠けますかね。

The Cars - The Cars

さて、カーズは私にとっては捉えどころのないバンドです。バンド名の由来は、全員、車好きだから。1978年にメジャー・デビューしたという背景もあってか、ニュー・ウェイヴに括られもしているようですが、ファーストアルバム「The Cars」などを聞くかぎり、ロックンロールといったほうがしっくりくる気がします。もちろんロックンロールは好きなのですが、それだけではそう何度もそのアルバムを聞きたくなるはずがない、と不審に思えます。


The Cars - Don't Cha Stop - Live 1978

 「Don't Cha Stop」も何ということもない曲だという気がはじめはするのですが、私にはもう一度聞きたいという要求が何度も起こります。いえ、リック・オケイセックの声はくせになるとか、エリオット・イーストンのギター、主張しすぎないけど実はえらいかっこええやんとか、いろいろ挙げられるには挙げられるのですが、そうした理由もまだつかみどころがないですね。


The Cars - You're All I Got Tonight - Live 1978

「You're All I've Got Tonight」に関するWikipediaのページを読んでいて、1つ、曖昧さという概念に行き当たりました。つまり、リズムギターがBのパワーコード(B・F#)を奏でているときに、リードギターはDとD♯でトリルを行う。したがってBコードのマイナー(B・D・F#)とメジャー(B・D#・F#)が混在するために、曖昧さが立ち現れるというのです。

Wikipediaの記述の趣意については、私の誤解も多分にあるかもしれません。そうしたことがよく行われることなのか、あまりないことなのかも知りませんが、その曲をいいなと感じる事由の1つを言い当てられたようで、おもしろいと思いました。そもそもマイナーかメジャーかが曖昧なパワーコードリードギターは従ったのだと捉えられなくもないでしょうか。

en.wikipedia.org


素直に言ってこそ伝わる

「Round and Round」を投稿しました。この曲と「Field of Flowers」の2曲は、元の題名はそれぞれ「押し問答」「孤独な場所」というのですが、作詞のmikuさんとの共作で、Rana3周年記念コンピ『Ranairo millefeuille』に参加したものです。どちらも今回、そのときにはなかったドラムを入れました。

「Round and Round」の歌詞ですが、

私の視線君に届いてるかな?
こっちを振り返ってくれない
君がバカみたい

この冒頭にまずはっとします。普通に考えれば相手が振り向かないことに不思議はないはずですが、それを何か相手に落ち度があるかのように感じてしまうわけですね。とても瑞々しいです。

「Field of Flowers」では、

怖い怖い怖い怖い怖いんだ
いつ孤独になるのか

こんなに素直な表白に歌詞のなかで出くわしたことに驚きます。突き刺さります。なかなか直截に告げることは難しい事象なのですが、素直に言ってこそ伝わるのだということを教えてくれます。 

さて、以前Bandcampにデジタルアルバムを置いたのですが、曲名が日本語の場合、ダウンロードしたときにファイル名が文字化けするんですね。プレーヤーでは曲名なども正しく表示されるので、さほどの害はないといえなくもないのですが……

ただ、「文字化けしたファイル名.mp3」や「文字化けしたファイル名.flac」の「.」までもが「・」になってしまっている場合はファイルが開けません。「・」を「.」に変更することで読み込めるようにはなりますが、ユーザーに不便を強いることになります。そうした手順をサイトで案内するのも少々ややこしそうです。

そこで「.mp3」や「.flac」に近い部分、すなわち曲名の最後に何か日本語ではない、文字化けしない文字を置いておけば「.」が「・」になることはないのではないかと推測し、試したところうまく行きました。具体的には「宇宙」といった曲名を「宇宙 (Uchu)」に変更しました。

それで「.」が「・」に化けてしまうことはなくなり、ファイルが開けないということもなくなりました。「宇宙」という日本語は文字化けしますが、「(Uchu)」の部分が保持されるのでファイル名からの曲名の同定も容易です。

一定の解決をみたわけですが、やはり今後のことを考えれば、多少の本末転倒を伴うとしても、これからは曲名はアルファベットにしておきたい、と。長くなりましたが、そうした事情があり、上記の2曲についても曲名を変更しています。

f:id:posidas:20190130165554p:plain


くりかえし聞くのは、その点を確かめたいから

いつか「3枚の好きなアルバム」といった題に沿って書いてみたいと考えていますが、なかなかに難しいですね。

f:id:posidas:20190127081412j:plain

いろいろな音楽を聞いてくるなかで、次第に嗜好が形成されたとすれば、最近聞いているもののなかから選べばよいのでしょうが、かといって音楽を聞きはじめたころの情熱も、やや気恥ずかしさを伴うとはいえ忘れがたい思い出です。今ではほとんど聞くこともなくなったとしても、その頃の驚きや発見のなかから何かしら選びたいという思いもあります。

それは基準が定まらないかぎり進まない企画といえます。そこでその下準備も兼ねて、思いつくままにそれこそ覚書程度に、気に入ったアルバムについて記しておこうと考えました。まあ個人的な印象ですから、きっと適当なことを書いてしまうと思います。

Diamond Life - Sade

今でこそ華やかな大人の女性という表現もしっくりくるSade Aduですが、シャーデーのファースト・アルバム『Diamond Life』では、声に少し硬さが含まれています。そこから来る不安定さの色合いは私がそのアルバム、とりわけ「Cherry Pie」をくりかえし聞きたくなる理由の1つです。


Sade - Cherry Pie (The Tube 1984)

もちろん青いというのは当たりませんが、何かこう、清新さに圧倒されます。だけど実のところ、『Diamond Life』での声に本当に硬さがあったのかと問えば、いつも確信は揺らぎます。デビュー・アルバムだから硬さもあるのだろうというバイアスが耳を濁らせていただけで、Sade Aduの声はそこでもあくまでスムースではなかったのか、と。

私が『Diamond Life』をくりかえし聞くのは、その点を確かめたいからだともいえます。果たしてSade Aduの声に硬さは含まれているのか。あるのかないのかも実は定かでない気配を探そうとして、再び聞きたくなります。


Sade- Hang On To Your Love - Live

「Hang On To Your Love」もとても好きな曲です。すごいグルーブです。コードとしてはDm、Am、Gmあたりが出てきますが、それらに対してベースはDACD GACという音の同じ1小節を、一部を除いて最初から最後までひたすら弾いています。なるほどそうした均一さがむしろグルーブに焦点を向け、より強調しているのではないかなと興味深く思います。あ、そのベースラインに対して上記のコードがついていると見るべきなのでしょうか、そこはよくわかりません。


どうしてこんなに似てしまうんだ

以前Twitterでも書いたのですが、Korantemaaという人のYouTubeチャンネルが好きです。

頭が回ってなかったのかなと、ちょっと疑わざるを得ないツイートですが、それはともかく、最近の動画はこんな感じです。ずっとギターの弾き語りが多かったので、新たな試みといえますが、やはり変わらずすばらしい。 

 
Plain gold ring - Nina Simone (loop cover)

このKorantemaaのチャンネルで知った曲にはたとえばMen I Trustの「I hope to be around」があって、しばらくくりかえし聞いていたのですが、一方、その頃自分で作った曲を聞きなおしてみたら、あまりにもその「I hope to be around」に似てしまっているんですね。歌詞は英語と日本語で違うのに、どうしてこんなに似てしまうんだ、と愕然としました。

まあ外国の曲を日本語訳詞でカバーするということも普通に行われますから、英語の曲と日本語の曲が似てしまうとしてもそれは十分あり得ることで、じっさい何の不思議もない。それこそ「I hope to be around」はくりかえし聞いていたわけですから、もしかしたら似てしまうかもしれないぞ、と気をつけていれば済む話でした。が、何というかもう、土台自分には作曲なんて無理だったんだと落ち込んでしまって、しばらく音楽に関することは何もする気になれなかった苦い記憶があります。


Men I Trust - I hope to be around

アリアナ・グランデの「7 Rings」はプリンセス・ノキアの「Mine」の盗作ではないかという疑惑については、一報を聞いたとき、それはラップのところはメロディがない(誤解かもしれん)のだから、歌詞に似たところがあれば曲もある程度似てくるものではないか、と思いました。

実際聞き比べてみたら、確かに似てしまっている気がしますね。ラップのことをよく知らずに云うのもなんですが、違った聞こえ方になるであろう言葉遣いや区切り方が幾通りもあるはずなのに、どうして「It's mine, I bought it」という「Mine」のフレーズに規律されたといわれたとして信じてしまいかねないような選択を、結果的に、知らずにであるとはいえしてしまったのだろうか、と、そこは少し残念に思いました。

ひとつ分かったのは、歌詞に似たところがあれば曲もある程度似てくるものではないか、というのは、どうやら私の思い込みでしかなかったらしいということです。


新バージョンは少しスローに

「Kettle」を投稿しました。これはもとは「カフェレーサー」という曲だったのですが、変更しました。朝、白い光のなかで湯気を立てるやかん(ケトル)というのは、私にとって、何というか幸せな日々の象徴みたいなものです。だけど火を想起するからでしょうか、同時にどこか不安の気配を感じさせる物体でもあります。

歌詞における大きな変更点は、「ミルク缶みたいなケトル」という句を新たに入れたことです。上述のとおり、私には印象深い語である「ケトル」をここで用いたい、いや、用いねばならぬと考えました。

それから旧バージョンについては、畳み掛けるというか、言葉がすし詰めになってしまっている感じがあるな、と。対照表にはAメロ、Bメロを引いたのですが――サビの部分はむしろ畳み掛けるくらいがよいのかもしれないが、そことのメリハリをつけるためにもAメロ、Bメロでは少し間を作りたい。そうした考えもあって、少々文字数を減らしています。

(新) 伏せていた頬を上げた 防具をつけたきみが出ていった

ミルク缶みたいなケトル 注いでいた明るみ 翳った
薄い靄はのぼるのか降るのか 天地の感覚 乱れる
(旧) シーツにあてた頬を上げたとき防具をつけたきみが出ていった

しのびこんだ寂寞の気配に注いでいた明るみが翳った
薄い靄はのぼるのか降るのかふと天地の感覚が乱れる

ただ、今顧みると、何か畳み掛けられているように思えたのは文字数の問題ではなくて、テンポのせいだったのではないかとも疑われます。新バージョンは少しスローにしたので、そのテンポであれば同じ文字数でも、詰まった感じは受けなかったのかもしれません。

それでも、ケガの功名といいますか、間のおかげかポエトリーリーディングのような効果も少しですが出てきた気もするので、結果的によかったのかな。

f:id:posidas:20190123210832p:plain


過度のリアリティから解放されて

都市伝説の女』をぽつぽつと鑑賞していたが、気楽に見られてよかった。私自身の限られた鑑賞体験では、刑事ドラマでは人情が前面に押し出されていることが多い。犯行に手を染めざるを得なかった消息にはもちろん興味があるが、その人情的な面ばかりをくどくど押しつけられたくはない。『都市伝説の女』でも漏れなく人情は描かれるが、その描き方はずっとさらっとしているし、都市伝説という題材が映り込むからか、過度のリアリティから解放されてもいる。そんなわけで、気づけばPart1を見終えていた。

その勢いでPart2に進んだが、そこでは月子の傍若無人ぶりが少し鼻につき始めた。なるほどPart1でも、月子は丹内主任を突き飛ばしたり、彼との電話を中途で切ったり、不埒な振る舞いに終始していた。その振る舞いを温かく見守れたのは、弱いほうを応援したいという判官贔屓の精神性があるからだろう。武副総監との謎の繋がりがあるとはいえ、月子はやはり新前の刑事に過ぎず、上司である丹内との立場の非対称性は失われていなかった。丹内が月子の指揮下に入ることはあったが、あくまでも一時的な措置だった。

ところがPart2では、月子はFBIで実績を上げたスターとなっている。実質的には彼女が新たに設立された非科学事件捜査班のリーダーであり、丹内はといえば名ばかりの班長であると明言されている。立場の非対称性は逆転してしまった。そうするともう、月子の丹内に対する不埒な振る舞いを、温かく見守ることは難しくなる。むしろ丹内への同情が強くなり、そのぶん月子への共感は薄れてしまう。月子を主人公とするドラマとしてはそれはうまくないだろう。

そんなわけで今日現在、Part2の第2話には進めていない。私の刑事ドラマの鑑賞体験は、やはり限られたものにとどまってしまいそうだ。


風が洗うカフェレーサーみたい

最近知った言葉は何かあるかと問われて、まず浮かんだのは「カフェレーサー」です。知らない言葉が出てきて、ウィキペディアなどで調べたのですが、カフェレーサーとは、快適性や利便性を切り捨てて速度や旋回性能を追求する、オートバイの改造思想を指すようです。また、そうして造られたオートバイもカフェレーサーと呼ばれます。

速度や旋回性能を追求するために、装飾的な部品や利便性のための装備などは撤去されることが多いらしいのですが、その思想がどこか好もしいと思ったのか、調べているときに眺めた写真がかっこいいなと思ったのか、その「カフェレーサー」という言葉が非常に印象に残ったんですね。

あまりに印象に残ったので、とうとう「カフェレーサー」という題名の曲まで作ってしまったのですが、

肩や肘の防具のいかつさが腕や腰をひどくきゃしゃにみせる
ところどころ鈍く光るきみは風が洗うカフェレーサーみたい

と、そんな歌詞でした。でも、改めて振り返ってみると、その曲を投稿してからもう3年半になるんですね。それを「最近」知った言葉というには少し無理があるかな、と。ただ、やはりまず浮かんだのは「カフェレーサー」という言葉であるのだし、知らなかった言葉で、それ以上に印象に残ったほかの言葉があるわけでもない。ならば「最近」知ったといっても、あながち間違いともならないのではないかと考えました。

f:id:posidas:20190114214001j:plain

今、その「カフェレーサー」という曲の修正を進めています。右も左もわからずに作った3年前からは、少しは知識も増え、その間には新しくいろいろな音楽を聞いてきたわけですから、どうしたって修正したくなります。また3年後には再度修正したくなるのだろうなと半ば覚悟しつつ、現時点での最善を尽くそうと試みているところです。

お題「最近知った言葉」